今春、ワタミはメインバンクと膝詰めで、ぎりぎりの交渉を行っていた。このままでは融資を引き揚げざるを得なくなる──。そう迫られていたからだ。 ワタミは、居酒屋事業の不振により、2期連続で巨額の最終損失を計上。2015年度に入った4月以降も赤字を解消できず、自己資本比率は6.2%と、崖っぷちに追い込まれていた。 そうした状態で融資を引き揚げられてしまえば一巻の終わり。対するメインバンクも巨額の貸し倒れが発生するため、頭を悩ませていたのだ。 というのも、ワタミの主要事業の一つである介護事業に、条件に抵触すれば融資が引き揚げられる「財務制限条項」が設定されていたからだ。 介護施設では、償却前に入居者が死亡した場合、入居金を返却しなければならないため、その保全が求められている。そこで「純資産額が12年3月期末(293億円)の75%以上を維持」という条件が課せられていたのだ。 しかし、赤字続きのワタミ