ブラックホール画像の解釈をめぐる研究者間の論争 結論以上に重要なのは独立な再検証と真摯な科学的議論 須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学) 2022年5月18日の記事で、国際共同プロジェクトEvent Horizon Telescope(事象の地平線望遠鏡、以下EHT)が、天の川銀河の中心にある超巨大ブラックホールのシャドーを撮影したことを紹介した。実はこれは2例目で、最初は2019年4月10日に発表された、楕円銀河M87の中心にある超巨大ブラックホールのシャドーの観測であった。この3年前の解析結果の解釈に疑問を唱えた論文が、2022年6月30日に出版された。あらかじめ強調しておくと、私には両者の主張のどちらが正しいかを見極めることは困難だ。科学の最先端における論争は、その分野の専門家でない限り(さらに言えば、仮に専門家であったとしても)、適切な判断を下すことは容易ではない。むしろ今回の目的は
![ブラックホール画像の解釈をめぐる研究者間の論争 - 須藤靖|論座アーカイブ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/2220430c0da4321ef559c3eb8f243f0e10610cf3/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwebronza.asahi.com%2FS2010%2Fupload%2F2022070600008_1.png)