経済のプリズムNo96 2011.10 1 子どもに対する手当の増額と年少扶養者控除廃止の影響 ~世帯構成別及び所得別の影響試算~ 調査情報担当室 鈴木 克洋 1.復興財源として注目された子ども手当 平成 23 年3月 11 日に発生した東日本大震災の被害額は、内閣府の推計で約 16.9 兆円と見積もられており1 、その復旧復興のために、今後、数年間にわた って多額の財政支出が必要となると見込まれている2 。その一方、我が国の国及 び地方の長期債務残高は 892 兆円程度 (GDP比 184%、 平成 23 年度末見込み) まで積み上がるとされ3 、復興財源を新規公債発行で調達した場合には、財政に とって更なる負荷になることが懸念されている。こうした財政情勢から、既存 の歳出見直しを行って復興財源の一部に充てるべきであるという議論が存在し、 その見直し対象の一つとして、 平成 23 年度当