ウクライナは核を放棄したからロシアに侵攻されたのだ――ロシアがウクライナへの侵攻を続ける中、日本でもそうした議論を目にするようになった。しかし、単純にそう考えてしまっていいものなのか。国際政治、なかでも軍備管理や安全保障を専門とする、一橋大学大学院法学研究科教授の秋山信将氏が解説する。 「核を放棄しなければ…」 ロシアがウクライナに侵攻した。これだけ軍事力に格差があれば、ウクライナなどロシア軍にとっては一ひねりだろうと想像していた向きも多かったようだが、ゼレンスキー大統領のリーダーシップ(こちらについても彼を見くびっていた人たちも少なくなかったのではないだろうか)の下でのウクライナ軍と国民の抗戦は、能力、意欲ともに予想をはるかに超えるものであった。 一方、ロシアのプーチン大統領は、米国や北大西洋条約機構(NATO)の介入の機先を制する意図もあってか、核兵器使用の可能性を早い段階から示唆し、
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