顧客との打合せの場でどんどんモデリングするやり方を「その場方式」と筆者は呼んでいる。いっぽう、ユーザからヒアリングしたことをメモして持ち帰って机上でモデリングして、次回の打合せでその結果を示して検討するやり方を「持ち帰り方式」と呼んでいる。「持ち帰り方式」で対応できる案件も一定の比率で存在するので、そればかりを受注できる職場にいるのなら「その場方式」を身につける必要はない。しかし、「持ち帰り方式」の実践者はオフショアの脅威にさらされていることを知っておいたほうがいい。 ◆スクラッチ案件とリプレース案件 「持ち帰り方式」が有効なのは、メインフレームのオープン化プロジェクトを典型とする「リプレース案件」だ。顧客の生の声よりも、既存のコンピュータ内部のあり方をじっくり調査することで新システムを構想できる。もともと使っていたシステムが使いやすいものだったのであれば、新システムは「建材の刷新された住
業務システムの論理設計を構造化するためのさまざまな視点がある。それらの意味合いを区別しないままに設計情報を漫然と眺めるだけでは、読み手として重要な項目を読み落とすし、設計者として複雑膨大な設計情報を「分割して統治」することにも失敗する。 「CONCEPTWARE/財務管理」をとりあげて、システムのあり方を眺めるためのいろいろな視点を見てみよう。 ◆業務フローの視点で眺める XEADにおいてシステム定義は、ツリービュー上の「業務フロー」、「職種別担当業務」、「サーバーモジュール」の3つのまとまりとして示される。ひとつめのまとまりの「業務フロー」の下位には、「CONCEPTWARE/財務管理」では「現預金口座管理の流れ」、「手形管理の流れ」、「売上収益回収の流れ」といった16個の要素(ノード)が並んでいる。それぞれのノードを選択すると、データフローダイアグラム(DFD)でまとめられた「業務(後
このエントリを考えていた矢先に、編集者と打合せをした。今度の本はレイアウトがややこしいので、直接会って話をしないとゲラを校正できなかったからだ。けっきょく喫茶店を3軒をハシゴして6時間かけて本文全ページのレイアウトを確定できた。電話もない、誰からも声をかけられない、ネットにもつながらない。仕事のための技術と意志を持つ人がそんな環境に置かれたなら、期待以上の密度で仕事は進むものだ。 広く知られているとおり、電話に出るとフロー(集中)状態が霧散してなかなか元に戻れない。まとまった集中時間を確保するために電話は大敵であるが、今は電子メールがぐんと普及したおかげで電話での妨害は減っている。 ところが現在の職場環境で、仕事への集中を阻むものとして無視できないのはその電子メール、それにブラウザである(あと会議ね)。ちょっと一息ついてメールをチェックしたり、探しものをするためにブラウザを立ち上げたりする
前回、DOAとOOAとの対立の話を書いたが、DOAとて一枚岩ではなく、いろいろな考え方をする人たちがいる。だから、筆者も参加している「DOA+コンソーシアム」の集まりは、椿正明博士や佐藤正美氏といった歴々の方法論者や、商売上競合しそうな営業担当者同士が呉越同舟で語り合うという、奇跡のような企画である。参加者の考え方の違いは想像以上で、「どうも偶然にも、我々は全員『DOA+コンソーシアム』という集まりに名を連ねているらしい。一致点が見つかってよかったなあ」なんて冗談が出るほどだ。それほどに違いを楽しめるというのも、本質的な部分が共通している余裕ゆえなのだろう。 DOAの中でも議論になりやすいのが、「現状分析と基本設計のどっちを先にやるべきか」という問題だ。その前後関係が分析・設計手法の前提をまったく変えてしまうからだ。まあ、けっきょくは「個別の案件毎に特性が違うから、どっちが正しいとはいえな
このブログへの検索キーワードとしていちばん多いのが"XEAD"で、その次くらいがなぜか"as is"と"to be"だ。結果的に過去のエントリーとして「『As-is先行』か『To-be先行』か」がよく読まれている。システム開発に関わっている人々の多くがそこらへんに興味を持っているようだ。 じっさい、開発者向けの記事を扱っているサイトでもここらへんの問題はしばしば扱われている。しかし、それらのほとんどは当たり前のように「まずは"as is(システムの現状)"をまとめて問題点を明らかにしたうえで、"to be(システムのあるべき姿)"をまとめる」と説明している。 上記のエントリーでも述べたように、筆者の主張はそれとは反対で「まずは"to be"をまとめてから"as is"とつき合わせてモデルを洗練させるべき」というものだ。これが唯一の正解とは言わないが、それぞれのやり方の特徴については理解して
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