生物の多様さには驚かされる。交尾器が雌雄で逆転し、雌が伸縮可能なペニス様の挿入器を持つ昆虫を、北海道大学大学院農学研究院の吉澤和徳(よしざわ かずのり)准教授らがブラジルの洞窟で見つけた。生育環境によって性転換する動物は知られているが、雌雄の性の役割がこれほどはっきり逆転した生物の発見は初めてという。性の違いが生じた進化の要因などを探る手がかりとして世界的な注目を集めている。慶応大学商学部の上村佳孝(かみむら よしたか)准教授、ブラジル、スイスの研究者との共同研究で、4月17日の米科学誌カレントバイオロジーに発表した。 体内受精をする動物は、ほぼ例外なく雄が交尾した時、雌に精子を送り込む挿入器を持つ。今回見つかった昆虫は、この常識を完全に覆した。ブラジルの洞窟に生息する体長3ミリほどの小さなチャタテムシの4種類で、雌がペニスのような挿入器を持ち、雄に挿入して交尾する。雌ペニスの根元には多く