本業はカメラマン、33歳。本格的な野球部経験は中学まで、あとは日曜ごとの草野球を十余年。 ある時、多忙で心身に変調をきたし、休息を求めてシチリア島に引っ越した。そのうち無性に野球がしたくなり、地元にチームがあると知って押しかけた。 「草野球のつもりで入ったら、実はセリエA(一部リーグ)のチームでした」 数試合に出てシーズンを終えたら報酬を渡され、初めて自分がプロ選手だと気づいた次第。そのままイタリア野球に魅せられ、2年あまりプレーした体験を記したのが本書だ。 イタリアは、欧州では野球の盛んな国だが、プロとはいえ収入は小遣い程度。 「レベルは日本の社会人野球くらい。選手の本業は弁護士や大学教授で、英語が話せるインテリのスポーツというイメージです」 だが、彼らが繰り広げる野球は、まるでインテリらしくない。 「とにかく熱いんです。ラグビーのよう。ほとんど毎試合、乱闘があるし、決してあきらめないか