(インタビュアーより、ファミコン開発当時に考えていたことを問われて) 上村――正直いって自信は全くありませんでした。そのときの僕のノートには、はっきりと「これは売れない機械や」と書いてあるぐらいですから。当時は『ゲーム&ウォッチ』が隆盛を極めていましたので、その持ち運べるという長所ばかりが目立って欠点は見えてこない。だからテレビゲームのほうは意外と欠点が目立って長所が見えてこない……というふうにウルトラ弱気な感じでね、着手していたと思いますね(笑)。 (中略)たとえば、遊びというもののなかには、ひじょうに複雑な要素が含まれていますが、かっこよく技を決めたりしたときには「見て見て、こんなの!」といって、ともだちに見せたりするときにはテレビというのは向いていると思うんですね。ただし、もう一方では自分の気の向くままにちょっと時間をつぶしたいとか、純粋にゲームを楽しむという要素もある。たとえば、そ