新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、3回目の緊急事態宣言が発令された。しかし、政府や自治体は不要不急の外出自粛やテレワークを呼びかけているものの、新型コロナ慣れのためか、人の流れは減っていない。どうすれば人を動かすことができるのか。感染対策、生活習慣、検診など行動変容のためのヘルスコミュニケーションを研究する奥原剛・東京大大学院医学系研究科准教授(46)に秘訣(ひけつ)を聞いた。【聞き手・田中泰義】 専門家が陥る「知の呪縛」 ――政府や自治体、さらに報道も感染対策を呼びかけていますが、効果は薄いようです。 ◆政府や専門家の発信の分かりにくさが一因だと思います。私は「専門家の知の呪縛」と呼んでいますが、政府や専門家には「知識を与えれば行動してくれるはず」という誤った思い込みがあります。市民がひと目で直観的に理解できる情報発信が必要です。例えば、数字は情報の説得力を高めますが、「何%の確率でこ