新刊書店が続々と古書ビジネスに進出している。家庭の本棚を占める“在庫”を高値で買い取り、購買意欲を刺激。本を売ったお金で別の新刊本を買う…という好循環を狙う。「新刊が売れなくなる」と敬遠されがちだった新刊と古書の併売が、消費者の節約志向にもマッチして書店再生の秘策として注目されている。(海老沢類) 東京都江東区の商業施設に昨年10月にオープンしたフタバ図書TERA南砂町店は、売り場の3分の1にあたる約300平方メートルを古書コーナーに割く。約8万冊の古書在庫はすべて来店客から仕入れた。買い取り価格は、発売6カ月以内の文芸書なら定価の30%が相場だが、2巻合計で200万部を超すベストセラーになっている村上春樹さんの最新長編『1Q84』は「在庫が不足している」(同店)ため、定価(各1890円)の半額を超す1000円を提示。売る人にとって購入時との差額である890円で読めるというお得感をPRし