海は人為的な原因による急激な変化の最中にある。地球の7割を占める海が、ごくちっぽけな哺乳類の群れによって変えられようとしているのだから、ある意味正気の沙汰ではない。だが、それは確かに起こっており、今世紀が終わるまでに今とはまったく違う姿になってしまうだろう。 「あるのはたった一つの海」とはアメリカ海洋大気庁(NOAA)の言だ。様々な原因によって、様々な程度に、様々な場所が変化しているが、海洋自体は一つの巨大な、相互につながりあったシステムである。オーストラリア沖で投棄された廃棄物は太平洋ゴミベルトを形成する。中国からの汚染は海を渡り北アメリカにまで漂流する。アメリカの片隅で排出された二酸化炭素は海に吸収され、将来的にバングラデシュの海にもなんらかの影響を及ぼす。