『文藝』2007年春号(河出書房新社)の「特集・恩田陸」より。 (恩田陸さんと漫画家・よしながふみさんの対談「思春期が終わるその一瞬の物語」の一部です) 【恩田陸:あと、よしながさんの描く漫画では登場人物がちゃんと自分の人生に対するツケを払っているところが好きなんですよ、私。 『西洋骨董洋菓子店』でも、主人公が幼少時代に誘拐されるというトラウマを背負いながらも最後、「結局、オレは全然変わってねーじゃねーかよ、じゃあまたケーキを売るか」って呟いていつも通り家を出ていく、というのは、何かちゃんと自分の人生を自ら引き受けて生きているっていう感じがするんです。 よしながふみ:私はドラマが大好きでよく観るんですけど、例えばヒロインのトラウマがレイプだった場合、途中で男性恐怖症に陥りながらも、レイプした当事者を告訴し最後は恋人ともよりを戻すという、まあいい終わりなんですよ、決して明るくはないけれど。こ