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ブックマーク / www.enpitu.ne.jp (6)

  • 活字中毒R。

    『文藝』2007年春号(河出書房新社)の「特集・恩田陸」より。 (恩田陸さんと漫画家・よしながふみさんの対談「思春期が終わるその一瞬の物語」の一部です) 【恩田陸:あと、よしながさんの描く漫画では登場人物がちゃんと自分の人生に対するツケを払っているところが好きなんですよ、私。 『西洋骨董洋菓子店』でも、主人公が幼少時代に誘拐されるというトラウマを背負いながらも最後、「結局、オレは全然変わってねーじゃねーかよ、じゃあまたケーキを売るか」って呟いていつも通り家を出ていく、というのは、何かちゃんと自分の人生を自ら引き受けて生きているっていう感じがするんです。 よしながふみ:私はドラマが大好きでよく観るんですけど、例えばヒロインのトラウマがレイプだった場合、途中で男性恐怖症に陥りながらも、レイプした当事者を告訴し最後は恋人ともよりを戻すという、まあいい終わりなんですよ、決して明るくはないけれど。こ

  • よしもとばななさんの「ある居酒屋での不快なできごと」 - 活字中毒R。

    人生の旅をゆく』(よしもとばなな著・幻冬舎文庫)より。 【この間東京で居酒屋に行ったとき、もちろんビールやおつまみをたくさん注文したあとで、友だちがヨーロッパみやげのデザートワインを開けよう、と言い出した。その子は一時帰国していたが、もう当分の間外国に住むことが決定していて、その日は彼女の送別会もかねていたのだった。 それで、お店の人にこっそりとグラスをわけてくれる? と相談したら、気のいいバイトの女の子がビールグラスを余分に出してくれた。コルク用の栓抜きはないということだったので、近所にある閉店後の友だちの店から借りてきた。 それであまりおおっぴらに飲んではいけないから、こそこそと開けて小さく乾杯をして、一のワインを七人でちょっとずつ味見していたわけだ。 ちなみにお客さんは私たちしかいなかったし、閉店まであと二時間という感じであった。 するとまず、厨房でバイトの女の子が激しく叱られて

    fujii_isana
    fujii_isana 2009/08/13
    店長にまったく問題がないとは思わないけどよしもとばななにも問題あるよなぁ。特別扱いに慣れてんのかな?
  • 活字中毒R。

    『週刊ファミ通』(エンターブレイン)2009/5/1号の記事「『スペースインベーダー』生誕30周年〜空前のヒットを支えた知られざる舞台裏」より。(『スペースインベーダー』の開発者・西角友宏(にしかど・ともひろ)さんへのインタビューから。「」内が西角さんの発言です) 【『スペースインベーダー』が誕生した70年後半のゲーム業界は、アタリ社の隆盛もあり、完全にアメリカ主導のものだった。遅れをとっていた日ゲーム業界は、まさにアメリカに追いつけ追い越せの状況。しかしながら、現在のように開発キットなどの環境が整っているわけではなく、ゲーム開発と言えばアメリカ産の筐体を解析し、似たようなゲームを作るのが精いっぱいの時代だったという。 『スペースインベーダー』を作った西角友宏氏(現ドリームス代表取締役)もそんな混沌としたゲーム業界の中にいた。「真似ばかりの日のメーカーもオリジナル作品を模索していた時

  • 活字中毒R。―村上春樹「ネット空間にはびこる正論原理主義を怖いと思う」

    『文藝春秋』2009年4月号の村上春樹さんへの独占インタビュー「僕はなぜエルサレムに行ったのか」より。 (2009年2月15日にイスラエルでエルサレム賞を受賞され、「壁と卵」のスピーチをされた村上春樹さんへの独占インタビューへの一部です。引用部はすべて村上さんの発言) 【ネット上では、僕が英語で行ったスピーチを、いろんな人が自分なりの日語に訳してくれたようです。翻訳という作業を通じて、みんな僕の伝えたかったことを引き取って考えてくれたのは、嬉しいことでした。 一方で、ネット空間にはびこる正論原理主義を怖いと思うのは、ひとつには僕が1960年代の学生運動を知っているからです。おおまかに言えば、純粋な理屈を強い言葉で言い立て、大上段に論理を振りかざす人間が技術的に勝ち残り、自分の言葉で誠実に語ろうとする人々が、日和見主義と糾弾されて排除されていった。その結果学生運動はどんどん痩せ細って教条的

  • 活字中毒R。

    『ドラえもん学』(横山泰行著・PHP新書)より。 (「第3章 あらすじで読むドラえもん」のなかで紹介されている「のび太の結婚前夜」のあらすじ) 【劇の稽古とも知らずに、しずちゃんと出来杉が演じる白雪姫のラストシーンを目撃したのび太は、顔を真っ赤にして「わ〜っ!! 手なんかにぎっちゃってや〜らしいやらし〜い」と、いつものように嫉妬の炎を激しく燃やす。「それにしても……。まるでほんとみたいだったなあ。このままだと、しずちゃんを出来杉にとられるのではあるまいか」とクヨクヨ考え込むのび太に、ドラえもんはタイムマシンに乗って結婚式を見てくるように勧める。 ついに重い腰を上げ、未来に向かった二人。結婚式場であるプリンスメロンホテルに到着すると、急ブレーキをかけながら車を乗りつけ、大慌てで駆けこんでいくお婿さんののび太を発見する。受付で式場を尋ねると、返ってきた答えは「野比のび太さまと、源静香さまのお式

  • 宮崎駿監督を悩ませた、『風の谷のナウシカ』の「3つのラストシーン」 - 活字中毒R。

    仕事道楽―スタジオジブリの現場』(鈴木敏夫著・岩波新書)より。 【『ナウシカ』というと、ぼくがいつもふれるエピソードが二つあります。 一つは製作終盤のときの話。当然のように、どんどんどんどん制作期間をっちゃって、映画がなかなか完成しない。さすがの宮さん(宮崎駿監督)もあせった。じつは宮さんというのは、締切りになんとかして間に合わせたいタイプの人なんです。それで、彼が高畑(勲)さんとかぼくとか、関係する主要な人をみんな集めて訴えた。「このままじゃ映画が間に合わない」と。 進行に責任を持つプロデューサーは高畑さんです。宮さんはプロデューサーの判断を聞きたいと言う。そこで高畑さんがやおら前に出て言った言葉を、ぼくはいまだによく覚えています。何と言ったと思います? 「間に合わないものはしようがない」 高畑さんという人は、こういうときよけいな形容詞を挟まない。しかも声がでかい。人間っておもしろい

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