数多の武将が覇を競った戦国・安土桃山時代。 荒々しいイメージがある一方で、同時に豊かな文化の花開いた時代でもあった。 代表格が、「侘び茶」を大成した千利休だろう。 余分なものを廃した簡素な茶室と道具で客をもてなす「一期一会」の精神に美を見出す。 しかし、利休の茶の湯は深い精神性を感じさせる一方、難解で近寄りがたいイメージをもたらしている。 いびつな茶碗に込められた意図とは? しかし、この茶碗の写真を見ると、戦国~江戸時代に盛んになった茶の湯のイメージは、良い意味で壊れるのではないだろうか。 いびつに歪められた形状に、不可思議な文様。 ふざけているとしか思えない。「茶の湯とは、行儀の良い高級なもの」と思い込んでいる人が、これを見たら、きっと驚くことだろう。 このヘンテコな茶碗を考案したのは、古田織部という人物だ。 生まれは1543年、徳川家康と同年。 江戸時代に入った1615年まで生きている