2018年1月23日 斎藤学(家族機能研究所) 上野さんには、この会を非常に実りあるものにしてくれるような質問を出していただきまして、ありがたく思っています。早速、最初のご質間からとりかかっていこうと思います。 臨床については、さっき言ったように「ヴァリュー・フリー」とよく言うのですが、これは例えば殺人を犯した男の殺人行為を含む行為について、法律家がそれに対して考えるような考え方をしないというぐらいの意味です。臨床家は人に対してそのようにかかわることが期待されています。 フロイディズムがこの現象に含まれる限り、いつでもフロイディアンの考え方が1つの価値をもって、足を引っぱるだろうというお話でしたが、私はフロイトの影響は、そんなに強いものではないだろうと思っています。臨床という言葉を「サイコセラピー」に限れば、たしかにフロイトはその源流といっていいのですけれども、「臨床」といった場合、一方で