吹きすさぶ寒風に耐えながら、荒野に直立する一本杉――。 イラク戦争以降、人気が暴落中の米大統領、ジョージ・W・ブッシュの現在の心風景を絵図に例えるとしたら、こんな風になるのだろうか。 そんなブッシュが心のよりどころとしているのが第二次大戦末期、大統領に就任したハリー・トルーマンであることはよく知られた話である。 戦後の大統領で最も低い支持率(22%)を記録したトルーマンに対して、ブッシュの支持率は30%前後。史上ワースト2位のニクソン(24%)に迫る勢いの現在、ブッシュが「トルーマンの奇跡」にあやかりたいと思っても不思議ではない。 没後に評価一変 現職時代には外交音痴として不人気だったトルーマン。だが、没後にその評価は一変した。21世紀の今日、トルーマンは旧ソ連への「封じ込め戦略」など冷戦時代を勝ち抜く基本政策を導いた指導者として広く世の中に受け入れられているのである。 今でこ