安倍晋三政権が昨年までの賃上げ要請に続き、経済界への圧力を強めている。政府は2015年10月16日、企業に積極的な投資を促すための「官民対話」の初会合を開き、過去最高水準に積み上がった内部留保を設備投資などへ回すよう要請した。 景気が足踏みを続ける中、設備投資を内需拡大の切り札にしたい狙いだが、経済界は慎重姿勢を崩さず、対話はかみ合っていない。企業の経営判断に政治が介入することへの反発も強く、官民対話の成否は見通せない。 「投資しなければ重大な経営判断の誤り」と甘利経済相 「今こそ、企業が設備、技術、人材に対して積極果敢に投資をしていくべき時だ」。安倍首相は官民対話の初会合で経済団体のトップらを前にこう強調した。 政府が、民間企業の経営判断に基づいて行われる投資に口出しするのは異例のことだ。ここまで踏み込む背景には「企業収益は過去最高となったが、投資の伸びは十分ではない」(安倍首相)との強