歌舞伎町にて。これ、おもしろかった。よかったです。わたしはすごくすきですね。不必要なせりふを削ぎおとしていくシャープな構成とか、実にカッコいい。劇中で扱っているテーマもいいなあ。なんか胸がしめつけられるようで。ぐっとくる映画でした。 この作品からわたしは、松本人志がいぜん作ったコント、「荒城の月」を連想した。汲み取り式便所で用を足している子どもを、便器の穴から地下世界に誘拐し、子どもたちを家来に、地下で王国を築こうとする夫婦の話だ。夫婦は、肥溜めに架空の王国を建設しようと苦心する。しかし彼らは、自分たちがすでに敗北していることを、どこかで承知していていて、それでもなお、「肥溜めの王国」というフィクションにしがみつこうとする。「上こそ下界、上こそ肥溜め!」と、スローガンを復唱する夫婦。このコントがおかしいのは、誰よりもまず、夫婦自身が、このスローガンを信じていないことだ。夫婦はむしろ、それが