遺族の心の傷を考えれば、“反省した”はずの加害者が出せるはずのない本が一方的に出版されました。今回は、読者の皆様からの相談ではなく、この問題を取り上げます。 18年前にこの事件が起こった当時、その猟奇的な手口や遺体の一部が校門の門柱に置かれたことから、事件は社会を震撼とさせました。酒鬼薔薇聖斗の名で警察に挑戦状を送り続けた彼を、まだ少年Aと呼ばれる前の、「『薔薇』という漢字が書ける人物」と騒がれた段階から、強い関心を持って詳細に成り行きを見守った者です。 そして18年後。元少年Aの手記が発売されて1週間が経ちました。初版が10万部で、早々と5万部の増刷が決まったと報じられても、私は読みたいとは思わず、出版されたことに憤りさえ感じていました。 遺族の心情を思うと耐えられない そのいちばんの理由は、土師淳君や山下彩花ちゃんの遺族の心情を思ってでした。あのようにして命を奪われたことを、また白日に
