今日3月10日、地上波のテレビ番組表の中に「東京大空襲」について放送する特番は見つけられなかった。それでもまだ、淡い期待を持っている。40代の筆者が子どもだったころのように、たった数十年前のその日、東京でなにが起きたのか、改めて知らせる特番が、今後いくつかは放送されるのではないかと――。(全2回の1回目/2回目に続く) ◆◆◆ 3月の強い風にあおられ、燃え広がった焼夷弾 78年前の今日、昭和20(1945)年3月10日未明、東京下町一帯には、木造家屋を焼き尽くすために特別に作られた特殊弾が1665トンも撒かれた。民家の屋根に触れるほど低空で飛ぶ約300機の巨大爆撃機から落とされる焼夷弾と呼ばれたその弾のひとつひとつは、空中でさらに細かい筒に分かれ、炎の尾をひいて地上へと向かっていく。筒にはゼリー状にしたガソリンが詰まり、地上で弾け、飛び散る中身が付いて燃え上がれば、水をかけても早々消えるこ
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