梅田望夫(以下,梅田)── わたしは今年45歳になるのですが,自分の来し方を振り返れば,まずはサバイバルするための資産作りをファースト・プライオリティ(最優先事項)に置き,それがある程度セキュアーになってから自分の知的生活を楽しもうという生き方を,かなり戦略的に追求してきました.『知的生活の方法』(渡部昇一)や『知的生活』(P・G・ハマトン)には「資産がなければ知的生活は送れない」というテーゼがありますが,そのためのお金をどこから持ってくるか.これを若い頃からずっと考え続けてきました.結局,大学や研究所に勤めてお金を稼ぎながら「知的生活」を送るか,まずはビジネスで稼いでセミ・リタイアしてから,経済的な独立を基盤に「知的生活」に入るか,そのどちらかしかないと結論づけて,後者の道を目指して歩いてきたのです.われわれの世代は貧しい日本を知っている最後の世代でもあるし,わたしは,いつもこういう自分