1950年代から1970年代初頭にかけて行われた「学生運動」を、一般社会はどのような認識でとらえていたのか。当時の映像資料は主に学生・運動家視点で描かれたもので、状況をビジュアル的に認識するには十分なものだが、一般の人々の心境を知るには今一つ信ぴょう性の上で問題もある。そこで今回は内閣府の公式サイトで公開されている戦後の各種世論調査のうち、1968年(昭和43年)に実施された「学生運動に関する世論調査」から、その実情に探りを入れることにする。なお1968年といえばいわゆる東大紛争、日大闘争などが発生し、機動隊側でも多数の死傷者が生じている。また10月にはいわゆる「新宿騒乱」が起き、新宿駅などの機能がマヒし、騒乱罪が適用され多数の逮捕者も出ている。 今調査は1968年11月29日から12月5日にかけて、調査員による面接聴取方式で20歳以上の男女に対して行われたもので、有効回答数は2502人。