ベル&セバスチャンのスチュワート・マードック初監督作品『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』は、ポップミュージックが一人の女の子の人生を救えるかどうか、という賭け、強い動機に支えられた映画だ。しかし、『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』を真に特別な映画にしているのは、ポップミュージックと一人の女の子の関係を、エミリー・ブラウニングという魅力的な女の子の内側から能動的に描いているところにある。ここにあるのはポップミュージックが何かをしてくれるという単純な救済の物語ではない。『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』では、エミリー・ブラウニングの内側から溢れ出る言葉や歌声、運動が、結果として偉大なポップミュージックを形作っていく。スチュワート・マードックが描くのは、ポップミュージックが出来上がっていくプロセスなのだ。ポップミュージックが出来上がるまで、偉大なポップレコードが出来上がるまでの、いわば永遠のエピローグがエミ