人物と背景合成のリアリティはレタッチの永遠のテーマ この連載も今回で終了となる。最後は、レタッチの永遠のテーマである「人物と背景の合成」を取り上げてみたい。そこに存在しなかった人を、あたかもそこに居るかのように合成し、実際ならばどうあるべきかを想像し、影を加え、映り込みを作り、馴染ませることがレタッチのポイントとなる。 今回は人物と物が水面に浮いているというシーン。時間が止まったような静寂の世界を想定しているが背景となる水面はわずかに波立っている。この水面に映り込んだ鏡像は波紋に合わせて歪むように仕上げなければならない。「波紋」フィルタ一発で仕上げる方法もあるが、それだと実際の水面の波紋と歪みの方向を合わせることができない。そこで今回は水面の波紋の画像を使って鏡像となる人物や物を歪ませる方法を紹介する。実際の波紋の画像を使って変形するので、より現実に近い状態を再現することが可能だ。