鯨の保護は地球環境を救うか? -暴走する「環境保護」団体の奇妙な論理- 石川 創(日本鯨類研究所・調査部) 「エコ」という名で象徴される環境保護の気運は、日本でも地球温暖化問題や石油価格の異常な高騰と相まって盛り上がるばかりだ。しかし、過剰とも思える環境保護のかけ声の中にも関わらず、一部の「環境保護」団体が熱心に展開する反捕鯨運動は、さっぱり一般市民の耳目に触れている様子がない。そう言えば、捕鯨の是非に関わる論争すら、一時に比べるとマスコミの話題にされることが少なくなって来たように思える。 しかし、昨年(2007年)末からこのかた、捕鯨に関わる問題はマスコミの間でにわかに熱を帯びて来ている。捕鯨の是非に関わる議論の話ではない。環境保護団体を自称するグリーンピースとシーシェパードの2団体が、一昨年(2005/06年)、昨年(2006/07年)に続いて、2007/08年第二期南極海鯨類捕獲調査