裏切りと報復の連鎖。画面からほとばしる殺意。このフィルムには全登場人物の血潮が焼き付いている。誕生から38年、いま再び注目を集めつつある『仁義なき戦い』。役を変え、3度出演したシリーズの生き証人・松方弘樹が、当時の思い出を語った。 * * * 撮影が終わるのは夜10時、11時。それから木屋町の飲み屋『キンコンカン』貸し切って毎晩飲んだ飲んだ。ぼくは30歳、監督、文太さんは40そこそこ。みんな若い。なんでそんなに徹夜で飲むか。翌日の撮影に、目が充血しているのが欲しいんですよ。『寝たらおまえ、目が青くなるだろ、きれいになるだろ。そりゃ駄目だ』という監督からして目ぇ真っ赤ですから。宍戸錠さんなんか、わけわかんなくなる。酔っぱらったまんま撮影に入って、本当にグラス握りつぶして血だらけになったりね。「はい、カット!」「はい、救急車」 飲んで演技の話? そんなバカはひとりもおらんです。監督さん以