著: 小野寺史宜 家賃5万円弱のワンルームに住みつづけてうん十年。誰よりも「まち」を愛し、そこで生きるふつうの「ひと」たちを描く千葉在住の小説家、小野寺史宜さんがいちばん住みたいのは銀座。でも、今の家賃ではどうも住めそうにない。自分が現実的に住める街はどこなのか? 条件は家賃5万円、フロトイレ付きワンルーム。東京23区ごとに探し、歩き、レポートしてもらう連載です。 ◆◆◆ 陸側と海側とにざっくり分けられる都市部の駅周辺でどちらに住むかを選ぶなら、僕は海側を選ぶ。 海が好きだから、ではない。いや、好きは好きなのだが。一辺が海になることで島感が出るから、だ。町にはっきりした形が与えられる。わかりやすくなる。 今回は大田区。23区で面積が一番大きい区だ。 羽田空港が丸々含まれるから、そうなる。羽田空港はそれ自体が大田区の町名で、1丁目から3丁目まであるらしい。例えば国内線を利用する人は、3丁目で