<なぜ、同じ「経営」をテーマとしながらも、経営の実務と学問としての経営戦略の間には、これほどまでに大きな隔たりが存在するのか。本連載では、長く実務の世界に身を置きながら、学問としての経営学を探究し続ける、慶應義塾大学准教授の琴坂将広氏が、実務と学問の橋渡しを目指す。第9回は、経営戦略を実行するうえで欠かせない、数値の管理に焦点を当てる。管理会計と経営戦略は異なる発展を遂げてきたが、その境界は次第に曖昧になりつつある。両者がどのように結びつき、経営の現場ではどのように運用されているのか。また、今後はいかなる発展を遂げる可能性があるのだろうか。 連載「経営戦略を読み解く〜実務と理論の狭間から〜」の一覧はこちら。 本連載ではこれまで、紀元前から続く経営戦略の歴史、そこから生じた議論の系譜、そして、事業戦略と全社戦略をめぐる現代の理論までを俯瞰してきた。 ここからはまず、現代における戦略立案および