2つ目の盲点は「できるはず」です。再び、大嶋のエピソードを紹介します。 「私がトヨタ時代にある設備の修理手順を要領書にまとめたとき、ベルト切り替えの方法を『設備にあわせてベルトを切って結ぶ』と書きました。後日、後輩がその要領書に従って作業をしたのですが、なかなか終わらない。心配になって見に行くと、私が5分でできる作業を後輩は2時間かかってもできていませんでした。結局、ラインを止めざるをえませんでした」 理由は、簡単でした。ベルト切り替えの場所はスペースが狭く、手が十分に入りません。にもかかわらず、後輩は最初に設備ピッタリにあわせてベルトを切ってから結ぼうとしていたので、うまく結べずにいたのです。大嶋が行った作業は、ベルトを最初に設備に結んでから、余った部分をカットすることでした。こうすればベルトの長さに余裕があるので、狭い場所でも簡単に結べるのです。 「上司から『要領書の書き方が悪い』と叱