広島東洋カープが初優勝したのは1975年。その年の三番打者は、元大リーガーのゲイル・ホプキンス選手だった。同年彼は、33本塁打、91打点という成績を残し、広島の初優勝に貢献した。 ところでホプキンス選手は、日本の同僚からは変わり者とみられていたという。球場で空き時間ができると、一人ロッカールームで医学書を読む。また、練習前には広島大学の研究室に通った。実は、彼には若い頃から三つの夢――大リーガーになること、医師になること、キリスト教の伝道師になること――があった。二つ目の夢に向けて準備を始めていたのである。 あれから31年。30代半ばで現役を引退したホプキンス氏は、米国に戻って医科大学を卒業し、外科医となった。そして60歳で転身し、ミッション系大学で聖書学を教え始めたという。60代で三つ目の夢も実現したのである。 プロ野球選手は一生続けられる職業ではない。それを見越して人生のシナリオを描き