◇MAKOTO YUASA <政治学者を目指して96年に東大大学院に進んだが、父正治さんが病に倒れた> 博士課程の2年目まで、研究と路上での活動を両立できていたと思います。ところが、99年の暮れに、父にがんが見つかって、年明けに大手術をしました。当時、東京の東大和にあった実家を出て、練馬に住んでいたんですが、呼び戻されて母(尚子さん)のサポートをすることになったんです。 勉強と路上での活動と母のサポートの三つは、さすがにできません。活動には仲間がいるし、たまに行くと路上にいる人も「久しぶりじゃねえか。もうちょっと顔出せよ」と声を掛けてくれるから、やめようとは思いませんでした。でも、研究は基本的に1人だから、どうしても後回しになります。01年に父が亡くなった後も、大学からはなんとなく足が遠のいてしまいました。 <大学院をやめることになった。そのときの恩師の言葉が忘れられない> 03年に博士論