いよいよ本日、第12回本屋大賞の受賞作が発表されます。それを記念して、ひさしぶりに候補作10冊を全部読んでレビューしてみましたよ。 『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎(幻冬舎) 伊坂の本屋大賞ノミネートはこれが7回目。第1回目から第6回までは連続で候補に上がっており、第5回に『ゴールデンスランバー』でついに受賞を果たした。伊坂は同作と次年度の候補作『モダンタイムス』を並行して執筆していた頃までを〈第1期〉、『ゴールデンスランバー』を上梓した2007年以降を自身の〈第2期〉だとしており、より前衛的な技巧を用いた作品を書くようになった。結果だけ見れば本屋大賞はその〈第2期〉を支持しなかったことになるが、今回6年ぶりに候補作として選出された(しかも2作同時)。 『アイネクライネナハトムジーク』は短篇よりも長篇を得意とし、かつ恋愛小説に関心がないと公言する伊坂が初めて発表した連作短編形式の