『熊の敷石』堀江敏幸 講談社文庫 2021.12.28読了 表題作と他に2作の短編が収められている。『熊の敷石』で堀江敏幸さんは2001年に芥川賞を受賞された。いかにも芥川賞らしい作品であると思う。ちょっと小難しく、華美に修飾された言葉と比喩で飾られた文章のパレード。結構な文学好きでないとこの作品を楽しめないかもしれない。 むしろ、この小説以降に書かれた作品の方がストーリー性があり、とっつきやすいと思う。『雪沼とその周辺』や『いつか王子駅で』は堀江さんの本を読んだことのない人に真っ先におすすめしたい小説だ。 タイトルの『熊の敷石』ってなんのことだろうと思ったら、ラ・フォンティーヌという方の寓話からきているようだ。老人と一緒に暮らす熊のいちばんの仕事は、老人の昼寝中にわずらわしい蠅を追い払うこと。ある時、老人の鼻に止まった蠅をどうしても追い払えず、敷石を掴み思い切り投げつけ、老人の頭を割って