要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター分子精神科学研究チームの豊島学研究員、吉川武男チームリーダーらの国際共同研究グループは、iPS細胞を用いて、統合失調症患者の神経幹細胞と神経前駆細胞の細胞塊(神経幹/前駆細胞)では、神経細胞やグリア細胞[1]への分化に異常がみられ、この異常には特定のマイクロRNA(miRNA)[2]が関わっていること発見しました。 統合失調症は生涯罹患率が人口の約1%と高く、国内の総患者数は71万3,000人と推定されています。病気の予防と治療には、病気の原因(病因)の解明が必要です。しかし、統合失調症はこれだけ患者数の多い病気であるにも関わらず、その病因は十分には解明されていません。統合失調症の発症しやすさの要因の一つとして、胎生期から生後早期にかけての脳の微細な発達障害が考えられています(神経発達障害仮説[3])。しかし、これまでは神経発達初期の異常やそ