僕が中学に入りたての頃、小説家になりたくて、色々なアイデアを思いついてはそれをメモ帳に記録していた。今でも実家の片隅にあると思うのだが、大人になってからそれを見返したときに、以下のような印象深い記述があった。 「近所のジョナサン、騒ぐ子供、怒る母親『リョウ君いい加減にしないとママ怒るよ!』=低俗」 低俗て。 当時僕は自分のことを21世紀を代表する偉人になると思っていたので、生活臭にまみれた日常が堪え難かったのだろう。他にもこんな記述もあったと記憶している。 「ご飯を食べてお味噌汁を飲んでお漬物食べたらおなかが一杯になるって覚えておけばいいのよ、1足す1が2になるなんて覚えなくていいの by近所のおばさん」 味噌汁て。 こちらは生活を大事にしろという意味合いの言葉に強い反発を覚えたのだと思う。 いずれにせよ思春期を迎えたての僕にとって、生活とは唾棄すべき存在であり、生身の人間として生きるにせ