外来を受診した女性に最近の様子を聞く成瀬医師=埼玉県伊奈町の県立精神医療センターで2010年7月14日、江刺正嘉撮影 薬物依存症患者の中で医師の処方する向精神薬によって依存症になった人の割合が、ここ10年余りで2倍になっていることが、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)の調べで分かった。依存症患者は自殺リスクが高いとされる。全国でも数少ない薬物依存症の専門治療施設、埼玉県立精神医療センター(同県伊奈町)で現状を取材した。【江刺正嘉】 ◇「自殺リスク周知を」 医師「お変わりありませんか」 患者「高校生の長男が進学か就職かで悩み、私によく当たるんです」 7月中旬、外来を受診した女性(41)と成瀬暢也(のぶや)副病院長(50)の診察室でのやり取りを、双方の了解を得て取材した。 女性は向精神薬の依存症と診断され、08年7月から5カ月間、センターの依存症病棟に入院。専門治療を受けて少しずつ