自殺しようと思っていた人が、僕の本を読んで自殺を思いとどまった、という内容の手紙をもらったことがある。 もちろん、僕には彼が言うほどの影響力はなかったと思うし、リップサービスも含まれていたと思うのだけど、それでもすごくうれしかった。 仕事をしていてよかった、自分にも生まれてきた価値があった、 そう思いながら涙を流した。 しかし、しばらくすると何か頭に引っ掛かることがあって、 ただ、それが何であるのかはよく分からなかったけど、 最近になって、何にひっかかっていたのか分かる瞬間があった。 今から言うことで気分が悪くなる人がいるかもしれないけど、 そのとき僕が引っかかったのは、 僕は「ある種の殺人」に加担したことになるのではないだろうか という疑問である。 つまり、自殺をやめた人が、その後の人生で殺人を犯したらどうなるのだろう。 さらに対象が「人間」でなく「牛」や「鳥」ならば、極めて高い確率で、