バンドを脱退していた時期でさえ多くのひとにとって彼は「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(以下 RHCP)のジョン・フルシアンテ」だっただろうし、バンドの最高傑作との呼び声も高い『Californication』に豊かな叙情をもたらしたギタリストであっただろう。だからこそ、先日発表されたバンドへの復帰のニュースは古くからのファンを中心として熱狂的に受け止められたし、やはりスタジアム・バンドのメンバーとして再びギターを鳴らす彼の姿を見たいというのが人情だ。 けれども彼のソロ活動をつぶさに追っていたリスナーは、フルシアンテが優れたエレクトロニック・ミュージックの作り手であることを知っている。過去のソロ作ではギター・ミュージックにエレクトロニックの要素を導入することもあったが、とくにトリックフィンガー名義を使ってからは、アシッド・ハウスやIDMのような純然たるエレクトロニック・ミュージックに集中し