『がん消滅の罠 完全寛解の謎』岩木一麻 宝島社[宝島社文庫] 2023.12.04読了 副題の一部になっている「寛解(かんかい)」の意味は、医学用語で「がんの症状が軽減したこと」である。つまり、完全寛解とは、がんが完全に消滅して検査値も正常を示す状態のことである。 (目次の次頁に記載) 岩木一麻さんのデビュー作にして第15回このミス受賞作である。ドラマ化もされていたみたいだけど、全然気付かなかった。久々の医療ミステリで存分に楽しめた。ただ、こういった「がん」を扱うなど生死に関わる医療がテーマとなると、身近で辛い思いをする人がいる場合に、どうしても心から楽しめない自分がいる。しかし小説なのだから、それはそれとして。 余命宣告を受けた患者が生命保険の生前給付金を受け取った途端にがんが消えて健康になる。奇跡のような事象が連続して起こっていることに疑問を持ったがんセンターに勤務する夏目、疫病研究