年の初めには「今年の相場展望」、マーケットが大きく動けば「当面の見通し」――。株式や投資信託、外貨などに投資をしていると、こうした新聞や雑誌の予想記事が気になります。アナリストやエコノミスト、金融機関の運用担当者の見方を紹介しているのですが、中身をよく見てみるとおおむね共通した法則があることに気付きます。 なぜこうなるのでしょうか。よく言われるのは「あれはアナリストの本音ではない」という説明です。アナリストやエコノミストの多くは金融機関に所属しているため組織の意向を無視できず、ドラスチックな予想を示すのが難しい、というわけです。 確かにそういう面はあるでしょうが、私はもっと別なところに理由があるとみています。行動経済学でいう「アンカリング効果」です。アンカリングというのは船がいかりを降ろすことですが、ここでは「与えられた数字に影響されてしまう」ことを意味します。 アンカリング効果の例として