ミステリとして話題の一冊、湊かなえのデビュー作『告白』は、決定的に“志《こころざし》”の低い作品である 大西 赤人 “勝てば官軍”という考え方には与《くみ》しないけれど、そこら中から足を引っ張られながらの朝青龍の優勝は痛快だった。たしかに彼にも欠点や不備は様々多いにせよ、27歳の時期に二場所出場停止という――実質、本場所の“勘”としては半年近くに及ぶ――ブランクを科しておいて、元に戻れと求めるほうが本来は酷だろう。今場所とて、初日の対稀勢の里戦で危機一髪の相撲を凌いでいなかったらどうなっていたかとは思うものの、場所の終盤に到ると、日頃から朝青龍に批判的な北の富士や舞の海が、NHKの解説者としてはいかがなものか(笑)と感じさせるほどの露骨さで白鵬に肩入れしながら話している様子が面白かった。 また、優勝決定戦を制した後の朝青龍の両手を挙げた“ガッツポーズ”に対しては、翌日の横綱審議委員会におい