昨年のノーベル医学生理学賞を受けた大隅良典・東京工業大栄誉教授(72)が、長期的な基礎研究を社会が支える仕組み作りについて、積極的な発言を続けている。背景にあるのは、短期的な成果を求める研究にばかりお金が流れ、「このままでは日本の基礎科学が立ちゆかなくなる」という危機感だ。神奈川県大磯町に暮らす大隅さんに、横浜市緑区のすずかけ台キャンパスで思いを聞いた。 「役に立たない研究をしよう」。ここ10年、大隅さんがそう話すと、「それでいいんですか」と首をかしげる学生が増えたという。細胞内の新陳代謝の仕組みを探るオートファジーの研究でノーベル賞を受けた大隅さん自身、研究の成果が役に立つかは意識してこなかった。「科学は金もうけのためのものではなく、社会を支えるもの。すぐに役に立つことばかり求めていたら基礎科学はできない」と話す。 国から国立大学に支給され、自由に研究に分配できる運営費交付金は、国立大が
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