米Googleや米IBMなど、米国のIT企業は自社の成長エンジン、新規事業創出などのためにM&Aによってベンチャー企業を積極的に自社に取り込んでる。一方、日本ではそもそもM&Aが少ない。この理由の一つとして、会計制度におけるのれん代の償却の違いを指摘したのが、富士通総研 経済研究所 主任研究員の湯川抗氏だ(インタビュー記事)。湯川氏と公認会計士の木村直人氏が執筆した研究レポート「我が国におけるベンチャー企業のM&A増加に向けた提言- のれん代非償却化の重大なインパクト」は、国の政策にも影響を与えている。湯川氏にその論点についてITproに寄稿してもらった(編集部)。 一般にベンチャー企業は、新規株式公開(IPO)あるいはM&A(合併と買収)を通じて、投資家に対してキャピタルゲインをもたらす。これらはイグジット(Exit)と呼ばれ、Exitに関する計画がなければベンチャー企業は投資を受けるこ