夢、仲間、絆、希望、笑顔、理想の自分――。ブラック企業に限らず、“ポエムな言葉”が盛り込まれた社歌を歌いながら体操したり、社員に駅前清掃を強要する企業も少なくない。こうした独自の規定を義務づけ、社員の労働意欲を引き出し洗脳しようとする「ポエム化する日本企業」の実態とは? ◆ポエムは具体的な目標ではない。だから、人はごまかされてしまう 夢、仲間などのポエムに煽られて、労働意欲が上がることのいったい何が悪いのか。コラムニストの小田嶋隆氏はポエム化の危険性についてこう語る。 「ポエム化の一番の問題点は、目的が抽象的だという点です。例えば、震災後に政治家やマスコミがこぞって使っていた『被災者に寄り添う』『想いを伝えたい』などのフレーズは耳当たりはいいけれど非常に抽象的ですよね。ポエム的な言葉は個人の心情や感情をうまく取り入れているから、共感を呼びやすい。でも、『じゃあ実際には何をするのか』というと