川崎市の五十代男性が高校生の長女のアルバイト収入を申告しなかったことを理由に、生活保護費返還処分を受けたのは不当として、同市に処分取り消しを求めた訴訟で、横浜地裁判決は原告の主張を認め、処分取り消しを命じた。同市は控訴を断念した。 判決などによると、男性は病気で働けなくなり二〇一〇年春から生活保護を受給。高校二年生だった長女は、この年の秋に予定されている修学旅行費約十万円を、薬局で一年間アルバイトして捻出した。また、残り二十二万円余を大学の受験料に使った。
話題はいわゆる「生活保護バッシング」について。日本では、生活保護受給者に対する偏見やバッシングが根強く残っています。 不思議なのは、日本社会では人々の怒りや不満が貧困や格差を生み出している社会構造になかなか向かわない、という点です。二〇一一年秋、「私たちは九九%だ」をスローガンとしたアメリカの「ウォール街オキュパイ運動」は世界各国に波及しましたが、日本では、格差・貧困の広がりにもかかわらず、富裕層を批判する社会運動が広範な支持を得ることはありませんでした。 (中略)シベリア抑留を経験した詩人、石原吉郎はシベリアの強制収容所(ラーゲリ)の中で日本人たちが鋼索を研いで針を作り、それを密売してパンと交換していたことを記録しています。しかし、針の密売が広がるにつれて、内部からソ連側への密告が相次いだと言います。 石原は「弱者の正義」という文章の中で以下のように指摘します。 「針一本にかかる生存の有
1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら。 生活保護のリアル みわよしこ 急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。 バックナンバー一覧 2
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