『マンガ包囲網 ─政官業民一体で推進される表現規制の多重構造─(前編)』の続きです。 なお、『ネット君臨』の脚注を別途追加しました。 ●警察庁による表現規制推進活動の開始 この警察庁生活安全局は、治安の悪化・凶悪化を理由に1994年に防犯・治安維持活動を目的として設置された部局である。1990年代のマスコミ各紙では「安全神話の崩壊」という言葉と共に少年犯罪や外国人犯罪の深刻化が謳われ、治安対策を求める世論が沸騰していた。実際には統計上治安は悪化していないのだが、ワイドショーなど報道に煽られ、社会に不安感が広がった結果であった*1。 こうした声を背景に生活安全局は、2002年から監視カメラの設置や不審者通報システム、自警団パトロールなど防犯活動を推進する『生活安全条例』を次々と全国に制定していく*2。 こうした中、必要になってくるのが摘発対象である。名目上、治安維持が目的である以上、何からの