日銀の「事実上の利上げ」は防衛ラインの後退である 12月20日、日銀は、金融政策決定会合で「これまで0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する」と決定した。誰もが予想していなかった発表で市場は大きく動いた。為替は円高に振れた。 日銀が緩和政策を変更し、今後、日米金利差の縮小で円高が進むと解説したアナリストやマスコミも多かった。 たしかにこの日銀の決定を、金融政策の変更と考えれば、この為替の動きはセオリーどおりだ。 しかし私の分析は全く違う。日銀が自身の存亡をかけて戦っている最中での決定だと理解している。日米金利差のようなテクニカル的な分析で為替の先行きを予想すべき次元ではないのだ。 20日の日銀の決定を私は「やむを得ず行った」決定だと思っている。 日銀は10年国債金利の許容変動幅を±0.1%、±0.2%、±0.25%と順次引き上げてきた。一見、物価上昇への対応のように