私がこの世界に来てまず憤慨したことは、異世界にシャワーが存在していることだった。せっかくの異世界なのに、異世界要素とエロ要素がからみあっていない。これでは、普通の現代社会で女子高生が売春しているのと変わらないではないか! 「いーから、とっととシャワー浴びてくんない? だるいしー」 ヤマンバメイクをした少女が私をけしかけてきたので、さらに憤る。異世界なのに、ヤマンバという概念を思い浮かべた自分自身にも腹が立って仕方がなかった。 私は好きで風俗に来ているわけではないのだ。正しい異世界の風俗を世に知らしめるために、仕方なく異世界風俗を訪れた。この少女は、そこがまったくわかっていない。怒りのあまり、避妊具として用意してあった草を引きちぎる。あまりに頭が煮えたぎっていたため、ボロボロになった草を全身に振りかけながら「編集が悪い。許さん!」と叫び、女子高生のみぞおちにドロップキックをかましてしまった。
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