■1.お金には重さがあること お金が集まると、その量によって重力が生じる。 十円くらいでは「お金が集まった」とは言わない。廊下の隅に埃が溜まった程度で、吹けば飛ぶ。 百円単位だと、飲食ができるから、はじめて「お金があるな」と認識される量になる。 千円単位だと、「失うと辛い」「得られると嬉しい」という感情の動きが生ずる。 万円単位だと、この感情の振れ幅が大きくなる。また、「明日、使おう」「来週使おう」と、時間の観念が入って来る。 十万円単位だと、これを失うと傷みが伴う。比喩ではなく、本当に痛い。 ここから先は聞いた話である。作家の日垣隆さんは東日本大震災の直後、預金を下ろした現金を大量に持って被災地に入った。呆然とした被災者に会うと、話を聞き、その人が経営していた会社の支払やローンの支払に困っていると知ると、何も言わず数十万円とか数百万円を渡して去ったのだそうだ。 「ほんとにそんなことしたん