あー、忙しい、忙しい。 「お忙しくってなによりでございます」 だれだい、あんたは? 「はじめまして。時間貯蓄銀行より参りました」 なんだい、それは? 時間でも貸してくれるのかい? 「ええ、もちろんです。ただし、最初に預時していただかないといけません」 帰っておくれ。預ける時間なんかないよ。あー、忙しい、忙しい。 「みなさん、そうおっしゃいます。しかし、一日をつぶさに調べれば、5分や10分の端(はした)時間を、どなたも持ち余していらっしゃるもの」 ないったら、ないよ! さあ、帰った、帰った! 「なるほど。そういった寸分を惜しむ方には、我々どもタイム・コンサルティングを行っております。たとえば、この1日を26時間にするコースなど、いかがでしょう?」 なんだって? 1日は24時間と昔から決まってるんだ。寝言を言ってるんじゃないよ。 「確かに。しかし誰かが決めたやり方に、そのまま盲従していては、時