東日本大震災を機に高まりを見せる反原発世論。原発の危険性は、これまでもさまざまなジャンルの表現を通じて描かれてきた。改めて注目を浴びるこれらの作品に触れ、そのメッセージの重い意味を考えた。【井田純】 今、インターネット上で無料公開され、多くの読者を得ているのが漫画家、山岸涼子さんの「パエトーン」だ。ギリシャ神話の少年の名を冠したこの作品は、「神の火」原子力の潜在的な恐怖を、暴走する太陽神の馬車がすべてを焼き尽くそうとするさまになぞらえて描く。 最初に月刊誌に掲載されたのはチェルノブイリ原発事故から2年後の88年だが、福島第1原発の事故直後からネット上などで話題になった。これを知った山岸さんの意向で、3月25日に版元の潮出版社が電子書籍としてサイト上に公開したところ、先週までに60万回を超えるアクセスがあったという。作中で山岸さんは、放射性物質が健康に及ぼす影響や、原発の構造を解説。日本の原